■交通事故データ分析による反射材の効果検証
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■反射材の応用知識
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■反射材の基本知識
1.反射材はなぜ光る(反射材の原理)
2.反射材の構造別タイプ
3.反射輝度の単位 cd/lux/㎡はなにを表していますか?
4.反射材とJIS規格
5.反射材の測定方法
6.反射材の色と反射輝度
7.用途と種類
8.歩行者に反射材がなぜ必要?
9.反射材と視認距離
10.効果のある反射材
11.歩行中の死者は、夜間が7割!
12.高齢者の危険度?
1.反射材はなぜ光る(反射材の原理)
反射材の表面に秘密があります。
ガラスビーズタイプの場合、細かなガラスビーズが表面に存在し入ってきた光がこのレンズの役目で光
源の方向に再帰反射します。
このため車からヘッドライトの光があたるとドライバーの目の位置に光が帰っていき強く輝いて見えます。
プリズムタイプの場合も機能は同じですがレンズの構造がことなります。
ガラスビーズタイプとプリズムタイプの特長は、
ガラスビーズタイプは、斜めからの光に対して高い反射効果があります。(広角性)
プリズムタイプは正面からの光に対しては、ガラスビーズタイプより反射しますが、斜めからの光には
比較的反射効果が低い点があります。
2.反射材の構造別タイプ
露出レンズ型
ガラスビースが表面に露出しているタイプ
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開発初期の反射シートのタイプ
反射効率はよいが、排気ガスなど汚れやすいため封入タイプに変わっていった。
輝度が高く柔軟で薄いフィルムになるため現在は布用に使用される。
反射性能代表値
500cd/lux/㎡ |
封入レンズ型
ガラスビーズが樹脂の中に
埋め込まれているタイプ
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一般道路標識に使用されるなど反射シートというとこのタイプであったが、カプセルレンズ型が開発され次第に移行していった。
反射輝度はカプセルレンズ型がよいが価格が安く使い勝手がよいので反射テープなど広く使用されている。
反射性能代表値
JIS1級品 100cd/lux/㎡
JIS2級品 40cd/lux/㎡
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カプセルレンズ型
ガラスビーズは空気層に露出しており
トップフィルムの層がある。
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露出型の反射性能と封入型の耐汚染性の長所を組み合わせて開発された製品。
道路標識など現在一般的に使用されている。
反射性能代表値
250cd/lux/㎡
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マイクロプリズム型
微細なプリズムがシート表面に形成されている。
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反射性能が非常に高いのと外観の商品価値が高く標識以外の用途で普及が進んでいる。
軟質タイプと硬質タイプがある。
反射性能代表値
軟質タイプ 350cd/lux/㎡
硬質タイプ 800cd/lux/㎡
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3.反射輝度のcd/lux/㎡またはCandela/lux/㎡とはなにを表したものですか?
反射性能は、反射材1平米の面積の反射材が1ルックスの照度の光を当てた時何キャンデラの光の強さ(輝度)で反射するかを表わした単位です。
なお、ANZENオンラインストア上ではcplと表記しています。
ちなみにJIS1級の規格の反射シートは、70 cd/lux/㎡(又はCandela/lux/㎡です。
4.反射材とJIS規格
反射材には主に4種類の構造の違ったものがありますが、この中で封入レンズ型反射シートについては、JISが定められております。
「保安用反射シート及び反射テープ」規格 JIS Z 9117 です。
(1)色 (2)反射性能 (3)光沢度 (4)耐候性 (5)はくり紙の剥離性 (6)接着性 (7)伸びおよび引っ張り強さ (8)収縮性 (9)可とう性 (10)耐溶剤性
の各品質について規格が定められております。
1級品と2級品の規格があります。
1級品は主に道路標識を対象にしており、反射輝度が70Candela/lux/㎡
以上、耐候性が5年
2級品は主に道路工事現場の保安用品など短期使用のものを目的としており、それぞれ35Candela/lux/㎡
以上、耐候性が1.25年(1級品の4分の1)
いずれも封入レンズ型のみの規格で、これより機能の高いカプセルレンズ型、マイクロプリズム型については規格値は現在決められておりません。
ただし品質を表す時はこのJISの測定方法に準拠して表示されております。
5.反射材の輝度の測定方法
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反射材の反射性能の試験は、上記のJISZ9117の7.3の方法で行います。
もともとは標識に使用される反射シートの性能を測定するためのもので車のヘ
ッドライトが標識に当たる状況を想定して規定されたものです。
左図のとおり暗室で投光器で反射光の強さを測定します。
反射材は、まず当たる光の角度によって輝度がかわってきます。
つぎに入射光の照射軸とと反射光の観測軸とのなす角度によってかわってきます。
この観測角は夜間の現場では、車のヘッドライトとドライバーの目の位置との角
度という重要な意味を持っております。そしてそれは車の車種と見る距離によっ
て変わってきます。
大型車は小型にくらべ角度は大きく、距離が近づくにつれてさらに大きくなってき
ます。
現場の状況に合わせて実験室では、入射光としては、5°30°40°で光を当
て、それぞれにたいして、0.2°0.33°2°の観測角で測定します。
反射輝度の値の単位は1ルックスの照度の光を当てたとき1平方米当たりの反射
材は、何cd/lux/㎡の反射性能を持つかで表すのが通例です。
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左は上記のようにして測定したときのJIS1級品の規格値です。
標準的な反射性能(代表値)
反射性能を表示するのに左のような条件ですべて表すのはわずらわしいので、通常
は白色のシートを基準に観測条件は入射角5°観測角0.2°を標準的な条件として
このときの数値を代表値として反射性能を表します。
この基準の性能がよければ通常他の条件の性能もこれに準じますので比較するの
に便利です。
なお入射角5°は正面から見た場合の条件ですが、実際に光を当てると表面のハレ
ーションを避けるため若干角度を逃がして測定する目的のためです。 |
6.反射材の色と反射輝度
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反射輝度は、グレードが同一でも色によって異なります。
一番高い反射輝度をもつものは、どのグレードでも白です。
青は白の6%の輝度に過ぎません。
下のグラフは輝度の値を色別に示したものです。
使用に際しては参考にする必要があります。
ただし反射輝度だけでなく、色の持つ意味があって黄色、赤のど警戒色あるいは
危険色と呼ばれるものは人も目を引く特長があります。 |
7.用途と反射材の種類
1.硬いものに貼り付けるシートと柔軟性のあるものに貼り付けるシート
構造別に反射材を分けることができますが、それぞれについて用途別にさまざまのシートがあります。
大きく分けると道路標識を始めとする金属や硬質のプラスチックを対象とした硬い基材に貼り付けるシート
です。
これに対してやわらかな布に縫い付けたり軟質のプラスチックに貼り付けたりする場合などは軟質の素材
の反射材を利用いたします。
ゴム製品やビニールなど柔軟で伸縮性のある素材に、硬質の反射シートを貼り付けた場合当初は一見
問題ないようにみえますが、時間とともにシートが割れたりしわが発生したりすることがあります。
このようなことを防ぐため、用途にあった反射材の選択が必要になります。 |
2.裏に接着剤のついているシートと裏が布などで加工されているシート
(1)裏が接着剤
貼り付けて加工します。貼り付け方法は、手やローラーで貼り付ける加圧接着とアイロンなどで熱を加えて
貼る熱接着の方式があります。
また道路標識等は、真空加熱圧着機と称する大掛かりな装置をもちいる場合もあります。
(2)裏が布などのシート
メーカーによって、反射布とか反射クロスと呼ばれており、裏打ちする材料の材質も用途に合わせて種類が
あります。
ガラスビーズ型の場合、露出・封入を問わず主に縫製加工をほどこして利用いたしますが、軟質マイクロプ
リズム型の場合は、裏が塩ビ樹脂で主にウエルダー(高周波溶着)加工で仕上げます。
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8.歩行者に反射材はなぜ必要?(歩行者の視認性と車の停止距離)
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夜間、車のヘッドライトを下向きにした状態で歩行者の
見える距離は、着ている服の色によって、25mから40
mとされております。
一方車が歩行者を発見してとまれるまでの距離(制動
距離)は、たとえば時速60kmで44mです。
(これが雨の日は、1.5倍必要ですから66mと成ります。
したがってこの距離では、気がついてブレーキを踏んでも
間に合わない結果になってしまいます。 |
歩行者A 黒っぽい服 26mの距離から見える
歩行者B グレーの服 31mの距離からみえる
歩行者C 明るい色の服 38mの距離から見える
歩行者D 反射材を身につけている |
9.歩行者用反射材と視認距離
正常な視力の実験者を選んで視認性のテストをして次のことが確かめられております。
例えば90mcd/lux の輝度を持つ製品を選んでテストすると、約50M先からみることができます。
距離を2倍にして100Mにすると4倍の360mcd/luxの反射輝度の製品であれば視認することができます。
(1000 mcd=1 Candela)
このように視認距離と反射材の輝度には一定の関係があり、輝度は視認距離の2乗に比例いたします。
ここでmcd/luxについて説明します。
反射シートの輝度の単位は cd/lux/㎡(Candela/luz/㎡)ですが、歩行者用反射材は製品自体が反射輝度
いくらかが対象とないります。
反射シートは平米当りが対象ですが、製品1個あたりのCandela/luxが基準となります。
数値が小さくなりますので、1000倍してmcdの単位に落とします。
製品の反射輝度(mcd/lux)=製品の面積(㎡)×反射材料の反射輝度(cd/lux/㎡)×1000
つまりここでいえることは、反射輝度のあるシートを使っても面積が小さければ製品の輝度は落ちます。
逆にローグレードの反射シートでも使用面積が大きければ輝度においてまさる。つまり遠くから見えると
いうことになります。
最終的にはどの距離から視認できるかが反射材としての大事な評価の対象となります。
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左のロゴは、この商品は200mcd/luxの輝度があり75mの視認距離があります
との表示です。
反射材の性能をこのように表示してわかりやすくするケースもありますがまだ十分
ではありません。 |
10.効果のある反射材
光のよく当たるところ
車から見たとき目立つところはどこでしょうか。
まずヘッドライトは通常下向きで走りますので光が一番よくあたるところは足元です。
また靴などは動きがあるためとくに目だって見えます。
このような点から同じ距離でも光のよくあたる場所かつ動きのある取り付け方法など
工夫が必要です。
小さい反射材をつける場合以上のことは、とくに大事なことになってきます。
全方位からみえる場所
アクセサリー的に利用するキーホルダーなどは別ですが、しっかりと夜間の安全を目的と
するとき後方ばかりではなく側面前方などからの視認性を考える必要があります。
全方位反射材の例
タスキのように身体全体につける方法
足の場合なら足首に巻きつけるようなもの
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足の周りにつける |
身体全体につける |
11.歩行者の死者は、夜間7割!
平成16年中で歩行中の死者は2250人
この内夜間の死者は、1547人です。
このことは夜間の外を歩くことが非常に危険ということがいえ
ます。
その原因は暗くて見にくいことですので、反射材の活用が強
調される所以です。
12.高齢者の歩行中の死亡事故(夜間)
日本の人口の構成では65歳以上は全体の19.5%ですが、夜間歩行中の死亡事故では62%
を占める結果となっております。いかに高齢者が事故に遭う確率が高いかを物語っております。
夜間外出時は、反射材を身につけ、それもより視認性の高い全方位タイプの反射材製品を身につけることをお奨めいたします。